自分のやり方を作ろう

トラウマを解消させるやり方

近年は人材育成研修で「自己肯定感」がテーマとして扱われることが増加しています。自己肯定感というのは心の待ち方によって高まったり低まったりする性質があるため、それを高めるスキルを身につけることがビジネスパフォーマンスを高めることにつながるからです。といっても自己肯定感を高めるスキルは多様化しているため、ひとくくりにできるものではありません。自分なりのやり方を作ることが大切なのです。では人材育成研修で受講者に自分のやり方を作らせるには、どうすればよいのでしょうか。 まず自己肯定感は、過去の失敗にトラウマを感じたときに低下する傾向があります。失敗自体は小さなものでも、心の持ち方でその体験が強い苦手意識に変わってしまうのです。たとえばプレゼンのときに言おうと思っていたことを言い忘れたことがきっかけで、新しい提案ができなくなってしまうことなどです。研修では、過去の失敗体験はそのまま放置しておいても大丈夫だということをレクチャーしましょう。過去の出来事を自分や他人が変えることはできないからです。変えられない出来事にいつまでもトラウマを感じるよりも、その背後にあった努力に目を向けることのほうが大事だといえます。「過去の失敗体験は変えられないので、もう悩まない」と納得させることが、自己肯定感を高めるのです。

感情を紙に書かせてみよう

自分を起因とする失敗体験ではなく、他者から裏切られた経験も自己肯定感を低下させます。たとえば「上司にトラブルの責任を押し付けられた」や「同じプロジェクトで切磋琢磨していた同僚に手柄を持っていかれた」などです。このような受講者には、まず自身が感じている負の感情をしっかりと認識させましょう。認識させるためのひとつの手段が、感情を紙に書き出すことです。忖度は絶対にしないという条件で、受講者に裏切られた体験に対する思いの丈を正直に書いてもらってください。今回の例では「課長の○○、トラブルを俺のせいにするな!」「同僚の○○、手柄を持っていきやがってふざけるな!」という記載になるのかもしれません。 とにかく紙に書いてみることで、自己肯定感を低下させている原因を自身でしっかりと把握できるのです。そして不思議なことなのですが、人間というのは負の感情をしっかりと認識することで、ネガティブな経験に対するトラウマが小さくなっていくのです。上司や同僚との人間関係を完全に断ち切ってしまうことは、転職や転勤でもしない限り不可能だといえます。だからこそ研修では、紙に書き出して感情に区切りをつけるやり方を教えるほうが賢明なのです。